OTA・Over The Air/空中ダウウンロード、いわゆる「空中」は遠隔無線方式を指しています。
OTAアップグレード技術は、モバイル通信のエアインターフェースを介してSIMカードのデータとアプリケーションを遠隔管理します。そのため、OTAアップグレード技術は遠隔無線更新技術と理解することができ、更新用のソフトウェアをターゲットデバイスにリモートで転送してアップグレードします。

自動車のOTAアップグレードは、二つのカテゴリに分類されます。ファームウェアのアップデートのためのOTAは「FOTA（Firmware update Over The Air）」と呼び、デバイスまたはECUフラッシュメモリに完全なファームウェアイメージをダウンロードすることか、既存のファームウェアを修復してフラッシュメモリを更新することを指しています。ファームウェア以外、ソフトウェアアップデートのためのOTAを「SOTA（Software Updates Over The Air）」と呼ばれます。ユーザーの身近に繋がるアプリやマップOTAは、SOTAのカテゴリに属します。FOTAはSOTAよりも挑戦的です。FOTAであろうとSOTAであろうと、実際の運用では、1．更新パッケージの生成、2．更新パッケージの転送、3．更新のインストールという三つの段階に分けられます。

１．TSP/MESシステムから車種、車両、デバイスデータを同期すること。
２．OTAのクラウドに各デバイスのアップグレード用ソフトウェア/ファームウェアをアップロードし、オンラインで更新パッケージを自動的に作成すること。
３．OTAクラウドによって車種、設備のコンテンツアップグレードを選択し、アップグレードタスクを作成すること。
４．アップグレードタスクをターゲット車両にリモートで配布すること。
５．ユーザーがアップグレードの確認を行い、アップグレードを実行すること。
６．アップグレード結果をOTAクラウドに同期すること。

自動車OTAシステムは、クラウド側とエッジ側の協同稼働技術の一つであり、主にOTAクラウドプラットフォームとエッジ側のOTA実行層で構成されています。この2つは移動体通信ネットワークを通じて接続され、協同で自動車OTAのアップグレードタスクを完了します。さらに、PKI(Public Key Infrastructure、公開鍵暗号基盤) システムも追加され、アップグレードパッケージのコンテンツを保護し、リモートアップグレードの情報セキュリティを確保しています。

CDN「Content Delivery Network（コンテンツデリバリーネットワーク）」システムは、リアルタイムでネットワークトラフィック、各ノードの接続・負荷状況、ユーザーまでの距離、そして応答時間など総合情報に基づいて、ユーザーのリクエストを最も近いノードにリダイレクトすることができます。この目的は、ユーザーが近くで必要なコンテンツを入手できるようにすること、インターネット混雑問題を解決すること、そしてユーザーのウェブサイトへのアクセスの応答速度を上げていくことです。アップグレードタスクが多数の車に関わる場合は、これらの車は同時にOTAサーバーに接続するから、ネットワーク障害が発生する可能性もあるし、サーバーが同時に大量の並列ダウンロードも処理できません。一方、CDNサービスに接続すれば、ECU更新ファイルのダウンロードの高速化はできようになります。

フルアップグレード（フルパッケージ）とは、完全なコンテンツを含むアップグレードパッケージを使用して、アップグレードの目的を達成するために既存のコンテンツを上書きすることです。

差分アップデートとは、差分アルゴリズムでアップデート前後の既存のコンテンツとターゲットコンテンツを比較し、差分を見つけて差分更新パッケージを作成するすることです。更新時には、差分アルゴリズムを使用して、更新ターゲットの既存のコンテンツに差分パッケージのコンテンツを追加し、最終的なターゲットコンテンツに復元します。

差分アップデートを使用すれば、保存スペースの節約、転送時間の短縮、データ使用量の削減など、様々なメリットがあります。

A/Bパーティション設定とは、コントローラ内に二つのシステムAとBがあり、二つのシステムが相互に冗長データをバックアップしていることです。コントローラーが正常に動作している間、システムAは正常に動作し、システムBは待機状態になります。システムがアップグレードタスクに関連する通知を受信したことを検出すると、Bシステムはアップグレードを開始しますが、Aシステムはまだ引き続き正常に稼働しています。Bシステムのアップグレードが完了すると、次回システムの電源がオンになる時には、Bシステムが起動して正常に稼働しますが、Aシステムはスタンバイ状態になります。もしアップグレードプロセス中にシステムBのアップグレードが失敗する場合、システムAの正常動作に影響を与えず、システムは正常に稼働します。この設計により、ECUアップグレードの安全性が向上し、また更新が失敗してハードウェアが正常に稼働できなくなることも防止できます。

UDS (Unified Diagnostic Services、統一診断サービス)はISO15765およびISO14229により定義された自動車汎用診断プロトコルでありさまざまなビークルバス（CAN、LIN、Flexray、Ethernet、K-lineなど）で実現できます。UDSは本質的に指向型通信の一種類であり、対話型プロトコル(Request/Response)でもあります。UDSリプログラミングなら、UDS診断サービスに基づいて定義された一連のECUソフトウェアリプログラミングのプロセスです。CAROTAのOTAソリューションは、CAN、Ethernetバス上のすべてのECUを更新できる完全なUDSリプログラミング仕様をサポートしています。これにより、小型ECUにOTAクライアントを移植行する際のハードウェア制限を解除できます。

OTAプロセスのセキュリティには、通信セキュリティとアップグレードファイルセキュリティが含まれています。そのため、OTAプラットフォームとKMSのドッキングが必要です。セキュリティベンダーが構築したセキュリティゲートウェイによって、OEMのネットワークサービスは安全な通路を通じてサーバーと通信します。OTAサーバー上のアップグレードファイルは、車に発行される前に署名する必要があります。エッジ側はアップグレードファイルを受け取り、その後のアップグレード動作を許可する前に、署名を確認して正規のサーバーからアップグレードファイルが取得されていることを確認する必要があります。